遠近両用眼内レンズ

メガネがいらない!?

皆さんこんにちは。毎日快適に過ごしていますか?
今日は遠近両用レンズのお話です。遠近両用と聞くと「はいはい。老眼鏡も一緒になったメガネのことでしょ?」と思うと思います。今日お話するのはメガネの話ではございません!
白内障手術を受けるときの選択肢のお話です。ですから白内障がない方は今日の話は関係ございません。これから白内障手術を受ける、家族が手術を受けるという方はぜひご一読いただいてください。
また、全然良く見えているし白内障はまだすすんでいないよと言われている方も、興味で読んでいただければ幸いですし、来る日に備えてくださってもOKです!
メガネで言うところの遠近両用ってつまり老眼鏡だ普通のメガネだって、あれこれ掛けかえる必要がなくて、ずっと1つのメガネを掛け続けていればOKってものじゃないですか。
簡単にいうと遠近両用眼内レンズっていうのは白内障手術のときに遠近両用の度数が入っているレンズで、手術の後に多くの場合でメガネがいらなくなりますよ〜ってものです。

白内障手術って?

白内障手術についてはこの記事を読んでいただければご理解いただけると思います。
◎疾患解説「見えにくいのは「白内障」かも?」»
読むの面倒くさいですって方にごく簡単に説明すると、白内障とはカメラのレンズが濁って曇ってしまう病気(加齢の変化)です。汚れたレンズ越しではきれいな写真はとれないので新しいものに取り替える必要が出てきます。そのための新しい透明なレンズに入れ替えしましょうっていうのが白内障手術になります。

様々な眼内レンズがあります

ここで問題になるのが、眼内レンズって結構高価なものでいろんな付加価値がついているんです。代表的なものでは乱視矯正のトーリック眼内レンズです。
角膜乱視がある方にトーリック眼内レンズを使うと、乱視が打ち消されるので乱視矯正をしなくてもよくなるんです。これを使うかどうかってのは実は患者さんが決めるわけではないんですよ。どの程度の乱視ならこのトーリック眼内レンズを使うべきか、どんな種類の乱視なら効果があるかってのが結構複雑で難しいものなんです。
もちろん矯正しきれないくらい強い乱視の方もいますし、主治医の判断になってくるわけです。手術を受けられる患者さんは、術後どんな見え方がいいか、裸眼で生活したいのか、本を読むことが趣味なのかゴルフが好きなのか、見え方の希望を主治医に伝えて貰えればいいと思います。
そこでよりよい提案ができるかどうかも含めての主治医のウデなんじゃないかと思います。
ここで起きてくる問題が、術後はメガネはしたくありません。若い頃みたいな見え方になりたいです!ってことがご希望の方です!そんなワガママなあなたに!こんな提案はいかがですか?ってのが今日の記事になります。

単焦点

大前提として現在、ほぼ90%以上の方は特に付加価値のない、通常の眼内レンズを使用しています。これも各企業が技術の粋を集めて開発製造したレンズでとても機能性が高いものになります。米国から輸入して使用しているものや純国産のものまで様々なものがあり、状態に合わせて主治医が選択しています。
しかし、、、
単焦点と言われる、一箇所にしかピントが合わないレンズになります。
つまり、、
日常生活では車も運転するし、ゴルフもしたいという希望の方は遠方優位でレンズの度数選択をします。そのような方はスマホを見たり新聞を読んだりする時はピントが合いません。ですから老眼鏡を使用する必要があります。
逆もしかりです。近く優位に度数をあわせた場合、手元のスマホは裸眼でよく見えるのですが、遠くのテレビがぼやけて見えてしまいますので普段はメガネを使う必要があります。

これはどちらがいいとか悪いとか言うものではありません。各患者さんがどのような生活を重視するかということに依存します。
これはどうしようもなかったことなんですが、これを解決しようと開発されでてきたものが遠近両用眼内レンズ、多焦点レンズになります。

多焦点レンズ

このような経緯があって出てきたものですが、様々な問題点がありました。
まず、遠方はみえるようにして近くはどこの位置にピントを持ってくるのかという問題です。欧米人は新聞はかなり距離をとって読みます。ソファにどっしり座ってウデを伸ばして見る感じですね。欧米人はでかいので腕も長いです。(写真、イラストを。)それに対して日本人はかなり近くでものを見ます。ですから海外製のレンズでは近くの距離が40〜50cmくらいに合わせてありました。これだと我々日本人は困ります。遠近両用なのに近くが見えにくいならあまり意味はありませんね。

後もう一つ、1つのレンズの中に遠く用、近く用のゾーンができるのでその境目では光が歪みます。それを最小にレンズ設計してくれているのですが、グレア・ハローと言われる光のにじみが強く出てしまいます。

様々な紆余曲折を経て、各企業が努力してくれたおかげで現在ではかなりよいものが出てきています。

現在主流のレンズは連続焦点、もしくは3焦点眼内レンズと言われるものです。
3焦点はそのまま、遠・中・近の3点の度が入っているので日常生活で見るべき箇所が網羅されています。連続焦点は遠方から近法までシームレスにピントがずれていくような設計になっているものです。

どんな人に使うといいの??

ここまで聞くといや絶対多焦点レンズがいいでしょ!私にもそれを入れてください!ってなると思います。僕でもそう思います。しかしそういうわけではないんです。この効果を十分に享受できる人、できない人がいます。

まずそれは眼底疾患の有無に依存します。

緑内障・黄斑変性・黄斑上膜・糖尿病網膜症etc…などの疾患を抱えておられる方は多焦点レンズは使わないほうがいいです。なんにでもメリット・デメリットはあるのですが、デメリットばかりが強調されてしまうことになり困ったことになります。日本眼科学会からも眼底疾患のある方への多焦点レンズは行わないよう指導されています。

もう一つがグレア・ハローです。
先程もちょろっと言いましたが光がにじんで見えます。企業努力でそこまで気にならない程度まで抑えられたと言われていますが、気にされる方は気になると思います。多施設での大規模なアンケートでは90%以上のかたは気にならないとの回答は得られています。

もう一つの問題。それはとても高価であるということです。

この多焦点レンズ、保険が効きません。通常、保険証を医療機関に見せて健康保険をつかって3割負担で診察・手術を受けていると思います。

選定療養と言われる歯医者さんでいうところの金歯やセラミックのように、レンズ代は各々患者さんが自己負担して頂く必要があります。
これもいくらなのかは各施設によって多少異なりますし、レンズの種類でも異なってくるので一概には言えませんが、概ね1枚10〜40万程度かかります。

白内障手術は両眼受けることが多いですし、特に多焦点レンズは両眼に入れることで効果がしっかり出るという特性上、2枚分の費用がかかるので注意が必要です。
しかし、適合する人にはその費用以上の効果をもたらすものではあります。

様々なレンズがありますが。。。

以上のように様々なレンズが存在しますし、メリット・デメリットがあります。
じゃあ自分はどれがいいのかわからないよとなりますが、それはそうなんです。そのために術前検査というものがありますし、術前のヒアリングで希望する見え方、どんな生活なのかお聞きしているんですね。
詳しくは主治医の先生とご相談しながら決めていくことが必要ですが、この記事を読んで少しでも理解をしておいてからこんな見え方、生活を望んでいますって伝えるとよいと思います。
また、多焦点レンズは選定療養という厚生労働省の認可を受けた医療機関でないと受けることができませんのでご注意ください。
もちろん当院は認可を受けていますので、ご希望の方がおられましたら言っていただければよりよい提案ができると考えています。

長い記事になりましたが結局は人による!ということです。年齢にもよります。実際お会いしてお話することでよりよい提案となりますので、気になることがあればご来院くださいませ。
ではごきげんよう。

老眼

近くがみえません。。。。

皆さんこんにちは。見え方に満足な生活を送っていますか?
満足している人もそうでない人も考えておくべき問題ですので記載していきますね。

老眼って知ってますか?

さて老眼って知ってますか?よく知ってますよね。年齢を重ねると出てきます。これは避けられない問題です。仕方ないです。諦めてください。しつこいですね。大体、早い人だと30代後半くらいから徐々に症状が出てきます。

40代半ばになるとそれまで眼に自信のあった方でも手元が見えにくくなります。ゴルフでドライバーをかっ飛ばしたときに300ヤード先のボールも見えるのにスコアが書けなくて困るよ。って言われます。
ちなみに院長のドライバーは大体、森の中なので特に困ったりはしません!
それはさておき、老眼とは調節機能、つまり遠くから近くまでシームレスにピントを合わせていく能力が弱くなった状態です。元々の眼のピントが遠くに合っている場合、手元にピントを調節できないので見えないのです。ですから、老眼鏡をかけて手元にピントを合わせることが必要なわけです。

ところが元々目の悪い、近眼の人は遠くにピントを合わせられないのでメガネやコンタクトレンズを使用しているわけですが、その状態だとやはり手元が見えなくなるわけです。
ざっくりいうと調節機能とは「見ることのできる幅」と考えてみるといいと思います。これが年齢で狭くなるわけです。日常生活ではやはり遠く(5メートル先くらい)が見えないと困るわけなので、その中心は5メートル先に持っていく必要がありますが、となると手元が見えません。
ですので両方を見るためにはメガネを複数用意して、見たい距離にあわせて付け外しして行くわけです。大変面倒くさいことだと思います。
ここで登場するのが「遠近両用メガネ・コンタクトレンズ」になります。

遠近両用レンズ

遠近両用とは、眼鏡のレンズの中に5メートル先にピントが合う箇所と、手元にピントが合う箇所を設計しているものになります。
眼鏡のレンズ設計は非常に高度・複雑ですので多くを語れるほど院長詳しくないのですが、眼鏡の下半分くらいに近くを見る用の度数を入れて、中心から上の方は遠く用の度数を入れているものが一般的なものとおもいます。
それ自体は理にかなっているのですが、やはり使いこなすには慣れが必要です。どうしても慣れにくいという方や、見えにくいという方はやはり遠く用、近く用とわけて使ってもらうのが最適かもしれません。

私はまだ早いから関係ない話ですね。

そう思っているそこのあなた!笑 それがそうでもないかもしれないという話です。

40代くらいではあまり老眼鏡をかけている方はいないかもしれません。しかし眼精疲労や肩こりで悩んでいる人はとても多いですよね。実はこれ関連がある場合があります。

現代人はスマホをみて、パソコンの画面を見ながら仕事や娯楽を楽しむことが多いと思います。つまり近めの距離での作業が圧倒的に多いわけです。
前述したように調節能力は徐々に衰えてきて見える幅が狭くなってきています。ですが、眼の中の筋肉や目の周りの筋肉を使って調節の補助をして、なんと見えるように頑張っています。

無意識にめっちゃ頑張っているわけです。

それは疲れるでしょう。夕方になってきたら眼がかすんでくる・疲れてくる場合は調整を一生懸命しているための眼精疲労であることも多いです。
眼精疲労の目薬を使うことも一つの方法ですが、仕事中だけでも軽い眼鏡をつかってみると肩こりや眼精疲労が軽減してくれるかもしれません。
いきなり老眼鏡を買ってみるのはなかなかハードルが。。。という方は100円ショップなどで販売されている安価なものをいちど試してみてはいかがでしょうか?それで、使用感がよければちゃんとしたものを購入すればいいわけですので。

治るもの?

老眼は残念ながら治るものではありません。上手に付き合っていくしかありません。
技術の進歩もあり遠近両用レンズは違和感が少なくなって来ていますし、遠近両用コンタクトレンズは様々な種類があり、当院でも多くの方に処方させていただいています。

ただ1つ、白内障の手術をして自前のレンズを人工レンズに置き換える場合だけはこの限りではありません。老視矯正眼内レンズ、老視矯正手術といわれるものです。

次回はこの話をしてみようと思います。乞うご期待!

ドライアイ

ドライアイは眼科で治そう!

皆さんこんにちは。院長の一尾です。今回はドライアイのお話です。

まず結論から言うとドライアイは眼科で処方される点眼薬が最も効果的というお話です。

薬局などにもたくさん売っていますが、それで良くなった人はまずこのページを見ていませんね。薬局の目薬で良くならない、他院の目薬をずっと使っているがあまり効果が感じられない。そのような方は一度このコラムを見ていただけたらと思います。ひとことでドライアイといっても様々な症状があり、それに応じた治療方法があり千差万別です。

どのようなタイプがあってどんな治療が必要なのか以下で解説していきます。5分もかからず読み切れるのでドライアイでお困りの方は一度目を通していただければと思います。

治療方法には、目薬にもそれにふさわしいものや、はたまた簡単な外科治療まで存在します。ひとりひとりに合わせた治療方法を選択していきたいものですね。

しかしドライアイって根本的に中々良くならないんです。長く目薬を使っていく必要があるので、自身の受けている治療が納得できるものであることがとても大事だと考えています。そのためにこのコラムが参考になっていただければと思います。

ドライアイの症状って「目が乾く」だけじゃないの?

そうなんです。勿論一番の症状は目が乾く感じなんですが、それだけじゃないんです。
代表的な症状を羅列してみます。

  • 目が乾く
  • 目が重い
  • 目が疲れやすい
  • 目がしょぼつく
  • かゆみ
  • かすんで見える
  • まぶしい
  • 充血する
  • 涙が出る
  • なんとなく眼に不快感がある

どうですか?当てはまる項目があるかもしれません。勿論、ドライアイが原因ではないこともあるので、あくまでも可能性の1つと考えていただければと思います。

ドライアイって程度や期間によっていろんな症状がでるんですね。目が疲れやすい、なんとなく不快感があるなどは意外と見過ごされています。

近年はやはりドライアイの患者さんは増えてきています。約2,000万人と言われています。5人に1人です。

これはなぜでしょうか?? 

スマホが原因かも!?

日中パソコンで仕事をして休憩時間、通勤時間はスマホを見ている。そりゃあドライアイなりますよって話です。画面を集中してみていると瞬きの回数が減少します。しかも、エアコンの効いた部屋で過ごすことがほとんどなので、そもそも部屋が年中乾燥しています。

もはや現代の国民病といっても過言ではないです。

かといってパソコンやスマホなしに過ごすことはできないので、共存していく必要があるわけです。

適宜、目薬を使うことで症状は緩和されますし、時々休憩を挟むことです。まばたきを数回して少し遠くを見ることで目を休めましょう。

さてスマホ関連の話でもう一つ。
人間には自律神経というものがあります。自律神経には交感神経、副交感神経の2種類があります。興奮時は交感神経が強く働き、休んでいるときやリラックスするときには副交感神経が優位になります。

原始時代、人類は狩りをして生活してきました。遠くのマンモスを発見するのには交感神経を働かせて散瞳してより早く発見し、獲った獲物を近くで見て食べていた訳です。

近くを見るときは副交感神経が優位で目は縮瞳してリラックスしたいはずなのに、現代ではパソコン、スマホをみて臨戦態勢なわけです。これは体の仕組みに反しているわけですから無理がかかってきているわけですね。

このために眼精疲労や目の重い感じが出てきてしまっているわけです。

ドライアイの点眼治療

やはり涙なしにはドライアイは語れません。
涙は3層構造になっています。ムチン層、水層、油層の3層です。

ムチン層が涙を表面にとどめます。油層は水層の表面に膜状に広がって蒸発を防ぎます。
ドライアイとはこの3層のバランスが崩れることによって引き起こされているのです。

御託を並べずに目薬の話をしますね。

何種類かあります。大きく分けてヒアルロン酸、ジクアスルホナトリウム、ムコスタ、ステロイドがあります。

ヒアルロン酸ナトリウム

良く聞きますね。整形外科や美容領域でも一般的に使われているものです。主に水層、油層の補充といった役割をしています。

ジクアスルホナトリウム

ムチン層、水層に働きかけて涙の安定をもたらします。

ムコスタ

ムチン層によく働きかけます。白っぽい濁った目薬なので点眼後しばらくぼやっとします。

低濃度ステロイド

欧米ではドライアイは眼の炎症性疾患だという説が主流です。本邦ではそうではないという意見が主流ですが、どちらの言い分も正しそうです。

上記の薬効の薬をドライアイの種類に応じて使い分けていきます。
場合によっては2種類の併用がよいこともあり、ドライアイの重症度、病型で異なってきます。

ドライアイの外科治療

ドライアイのタイプによっては目薬ではなく、手術が必要なこともあります。

手術といってもそこまで大げさなものではありません。眼には目頭のあたりに上下に2つ、涙点と言われる穴があいています。これは涙の排出口の役割をしています。

泣くと涙が出ますよね。とてもたくさん泣くと鼻水まででるかと思います。これは涙があふれるほど出てその排出口から涙が鼻の奥に流れ込んでいるからなんです。

眼の表面の涙の入れ替えをすることによって表面を綺麗に保っているんですね。

ですが、涙の量が極端に少ない人になるとこの排出口が邪魔になってきます。必要な分まで流してしまって、足りなくなってきてしまいます。

そこでこの涙の排出口、涙点に蓋をしてしまおうという治療が涙点プラグです。
上下の涙点に1つずつプラグで蓋をすることで過剰な涙の流出をとめてしまいます。

ここまでしなくてはならない人はまれですが、一言ドライアイといっても軽度な人から重症な人まで様々です。なにせ2,000万人、5人に1人の病気ですからね。多種多様なタイプ、治療が存在しています。

最後に

いかがだったでしょうか。ドライアイは多くの治療方法の選択肢がある一方、眼科医でもその使い分けが難しいことがあります。

当院ではドライアイの病型をしっかり分類して、それにふさわしい治療を選択できるように努めています。
治りにくい、かつ悩んでいる方が多い病気ですのでしっかり個々にあった治療方法を提案させていただきます。ご自身ではどのタイプのドライアイかわからないでしょうから、いちどご相談いただければと思っています。
皆さんの眼が良くなってくれることを祈っています。

ではごきげんよう。